実家から届いた荷物の中に、「ねこ足昆布」という面白い昆布が入っていました。
見るのも食べるのも初めてで、普通の昆布と同じように出汁を取ったら何かが違う。もしかしたら食べ方が違うのかな?
せっかく珍しい昆布をもらったのだから、栄養やダシの取り方、効能などを調べてみました。
猫足昆布の特徴
長さ2~3m、幅5cmほどの細長い昆布です。とてもネバネバが強く、まるで卵の白身のよう。その粘りは普通の昆布の10倍もあります。水に浸けると濃い茶褐色のダシがしみ出てきます。独特の香りがありますが、甘味と味が濃く、とろっとした喉ごしがたまりません。
厚みと歯ごたえがあり、出汁を取った後は「佃煮」「おでん」「煮物」などで食べることができます。
生産地は根室・釧路から千島にかけての沿岸部でしか採れず、生産量が少量で、とても希少な昆布です。
水浸け後の猫足昆布。アロエのようにとても肉厚なのが解ります。こんなに膨らんでも、かなり硬い弾力があるんですよ。
表面の液体は、昆布の持つ粘りです。昆布を箸で持ち上げても、粘りの滝はなかなか途切れることがありません。
猫足昆布の名前の由来
根の部分(根昆布)が猫の足に似ていることから、ねこ足昆布という名前になったと言われています。
根昆布の根とは、実際には茎に近い葉の部分のことで、昆布が成長していく起点でもあります。したがって、成長に必要な栄養分が集中していて、昆布の中で最も栄養価が高い部分になります。
猫足昆布の効果
免疫力をアップする
猫足昆布の強いネバネバの正体は、フコイダンとアルギン酸です。
両方とも、海草類特有の水溶性食物繊維です。
- 脂質の吸収を抑え、コレステロールや中性脂肪を溜まりにくくします。
- フコイダンが腸の免疫細胞に刺激を与え、活性化した免疫細胞が、腸内環境を整えて免疫力を上げる手助けをしてくれます。
抗酸化作用をアップする
猫足昆布には、フコキサンチン(抗酸化力があるカロチノイドの一種)が含まれています。
実は、フコキサンチンは、褐色の海草(こんぶ・わかめ・ひじきなど)にしか含まれていません。
- 血糖値上昇の原因となる、内臓脂肪から出る炎症性物質の生成を抑えてくれます。
- 糖の代謝を促進し、血糖値を減少させる働きがあり、糖尿病を予防する効果があります。
食べすぎを防止する
猫足昆布には、うまみ成分のグルタミン酸が含まれています。
うまみ成分が多いほど「おいしさ」を感じる塩分濃度が低くなり、減塩できます。
- 胃にあるグルタミン酸センサーが、消化吸収を調整してくれます。
- 胃粘膜を保護して胃もたれや食べ過ぎを防いでくれます。
自然治癒力をアップする
猫足昆布には、自然治癒力を正常化するフコイダンが含まれています。
フコイダンの粘りは、昆布を細菌や汚れから身を守っています。
フコイダンの防衛成分を摂取することで、人間の持つ自然の防衛機能を回復し、高めてくれます。
猫足昆布を食べて欲しい人
- 老化を予防したい人
- ダイエットしたい人
- 動脈硬化を予防したい人
- 糖尿病を予防したい人
- 免疫力を高めたい人
- 胃の調子が悪い人
- コレステロールが気になる人
- 高血圧が気になる人
- 便秘を解消したい人
など
猫足昆布の調理方法(水出し)
材料
- 猫足昆布 2~3枚
- 水 1~1.5ml
調理方法
- 昆布を水で軽く洗います。
- 容器に昆布を入れ、冷水を入れます(水道水を使う場合は、一度沸騰させてから冷やします。ぬるま湯ではなく冷水を使って下さい。)
- 冷蔵庫で10時間以上寝かせます。
- 粘りと昆布の色が出たら出来上がりです。
ポイント
煮立てず、水に浸してほったらかしにするだけなのに、普通の昆布よりも濃いだしが作れます。
昆布水をそのまま飲むのも良し、だしとして煮物や味噌汁にしても美味しいです。
残った猫足昆布は冷凍保存し、まとまった量になったら、煮物や佃煮にすると無駄なく食べきることができます。昆布にもまだ身体にいい栄養素が残っているので、捨てずに使い切ることも大切ですね。
猫足昆布の水出しと煮出しの比較
水出し
丸1日水に浸しておきました。
昆布エキスは水と分離した状態で下に溜まるので、最後にかき混ぜます。
普通の昆布だしの色になり、旨味はしっかりと水に浸み出します。
煮出し
丸1日水に浸して煮出したもの。
ダシの取り方は、普通の昆布と同じです。ウーロン茶ほどの色合いになります。
粘りが強い分アクも出ます。灰汁を取り除いたら量が減りました。
こちらもしっかりと旨味がしみ出ています。
結果
水出し、煮出しとも味に大差はないような気がしました。
煮出しの手間を考えると、水出しで十分美味しくいただけると思います。
料理好きな人におすすめの猫足昆布
昆布水、昆布だし、昆布の佃煮と無駄なく全て食べつくしたい人のための猫足昆布です。
効率よく摂取したい人におすすめの猫足昆布だし
出汁をとる手間が無く、納豆や卵などの味付けや、薄めて鍋やうどんのだしとして使えます。
健康を気にしている年配の方へのギフトとしても人気があります。
最後に
水で戻した後のねこ足昆布の分厚さにびっくりしますが、飲んだ時の味の良さにさらに驚きました。
すまし汁を作って飲んだのですが、昆布の甘くて優しい味わいに心がほっこりとし、故郷の雑煮を食べたくなりました。
「昆布の成分が身体の隅々まで浸透し、本当に体内が綺麗になるんじゃないかな」と思うほどの味わいでした。